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墨塗り教科書

提供: わがこと日本

墨塗り教科書(すみぬりきょうかしょ)は、昭和20年(1945年)9月以降、戦時中の教科書のうち軍国主義的・国家主義的とされた箇所を児童自身が墨で塗りつぶして使った教科書をいう。

経緯

昭和20年9月20日、文部省は「終戦ニ伴フ教科用図書取扱方ニ関スル件」を通達し、国防・軍備を強調する教材、戦意高揚に関する教材、国際の和親を妨げる教材などの削除・省略を指示した。[1] 新しい教科書を印刷する紙も時間もなかったため、教師の指示で児童が該当箇所を墨で消す方法がとられた。

削除された内容

国語読本では「兵タイゴッコ」「軍艦」「三勇士」など戦争に関する課、修身では忠君愛国に関する課、歴史では神話・建国の記述などが対象となった。同じ教科書でも学校・教師によって塗られる箇所は異なった。[2]

占領期以降の記述との違い

占領期以前の記述・扱い 占領期以降の記述・扱い
教科書は国が編纂する国定制で、内容の改訂は文部省の編修手続きを経て行われた。 授業中に児童が教科書を自ら塗りつぶすという前例のない方法で内容が改められ、翌年には暫定教科書(折りたたみ式の新聞型)、昭和22年からは検定教科書に移行した。墨塗りを経験した世代にとって、教科書の内容が一夜で変わったことの象徴的な記憶となった。

出典

  1. 文部省次官通牒、昭和20年9月20日。
  2. 中村紀久二『教科書の社会史』岩波新書、1992年。

関連項目